フィリピン2. 文化
1.価値観
多くのフィリピン人に見られる普遍的な価値観は家族を非常に大切にすることです。
家族との繋がりを重視し、年配者や目上の人への尊敬心を忠実に示します。また子供に関しては「子供は神様からの贈り物」という根本的な考えが根強くあります。
一般的に3~4親等間までを家族として考えるため、義兄弟や「おじ」「おば」にあたる両親の兄弟までも家族に含め、その関係を優先し行動する傾向が強いです。
また、歴史的背景から様々な国の文化を吸収してきたフィリピンの人々は、多様な価値観を受け入れる柔軟性を持ち、現在でも様々な文化を取り入れる「ハロハロ」な価値観を持っていると言われています。 ちなみに「ハロハロ」とはタガログ語で「混ぜこぜ」という意味です。
2.国民的行事
フィリピンの国民的行事は圧倒的にキリスト教に関係したものが多く、宗教が生活の一部になっている人が多いフィリピンでは、どれも盛大に行われます。 代表的な国民的行事として以下の2つをご紹介します。
クリスマス
国民の9割近くがキリスト教徒のフィリピンでは、クリスマスは1年で最も重要な年中行事です。
9月に入ると街のあちこちでクリスマスの飾り付けが始まり、クリスマスソングが流れ始めます。
4ヶ月近く続くクリスマスムードは「世界一クリスマスが長い国」と言われるほどです。
また、フィリピンの会社では“13th month pay”といって、12月に1か月分のボーナスを支給することが法律で義務付けられているので、12月は2か月分の給料を手にした人々がプレゼントを買いに走り回ります。
クリスマス当日は家族や親戚が集まって食事をしたり、教会のミサに参列したりします。 一般的に家族や親戚が集まって行うクリスマスパーティは、12月25日の深夜0時に始まり、 Christmas Ham(クリスマスハム)、Queso de bola(エダムチーズ)、Lechon(子豚の丸焼き)、Pancit Bihon(フィリピン風焼きビーフン)、 Fruit Salad(フルーツサラダ)などのごちそうが並びます。
ホーリーウィーク(聖週間)
“Holy week”はクリスマスに次ぐ年中行事で、イエス・キリストが復活したことを記念・記憶するEaster(復活祭)前日までの1週間を指し、 この週の木曜日は “Maundy Thursday”、金曜日は“Good Friday”、土曜日は“Black Saturday”、日曜日は“Easter Sunday”と呼ばれ、様々な宗教行事が催されます。
そして、街のあちこちで売られる “Palaspas”と呼ばれるヤシの葉で作られた飾り物を教会で清めてもらい、家に飾ります。これは魔よけ(お守り)として家も守ってくれると言われています。
ホーリーウィークはフィリピンでは貴重な大型連休でもあるので、この期間は多くの人が帰省し、首都・マニラは比較的静かになります。
また期間中は、ショッピングモールやレストランなど、ほとんどの商店がお休みとなります。
3.祝祭日
一般的な祝祭日は以下の通りとなっています。
1月1日 | 元日(New year’s day) |
復活祭直前の木曜日 | 聖木曜日(Maundy Thursday) |
復活祭直前の金曜日 | 聖金曜日(Good Friday) |
復活祭直前の土曜日 | 聖土曜日(Black Saturday) |
4月9日 | 勇者の日(Bataan and Corregidor Day) |
5月1日 | メーデー(Labor Day) |
6月12日 | 独立記念日(Independence Day) |
ヒジュラ暦9月の最終日 | ラマダン明け(Eid al-Fitr) |
8月21日 | ニノイ・アキノ記念日(Ninoy Aquino Day) |
8月最終日曜日 | 英雄記念日(National Heroes' Day) |
11月1日 | 万聖節(All Saints' Day) |
11月2日 | 万霊節(All Souls' Day) |
11月30日 | ボニファシオ記念日(Bonifacio Day) |
12月24日 | クリスマスイブ(Christmas Eve) |
12月25日 | クリスマス(Christmas Day) |
12月30日 | リサール記念日(Rizal Day) |
12月31日 | 大晦日(New Year's Eve) |
その他、年によって追加される祝日や大統領令により、急きょ決定される祝日もあります。
4.スポーツ
エスクリマまたはカリと呼ばれるフィリピン武術がフィリピンの国技となっています。
人気のあるスポーツはバスケットボール、ボクシング、ビリヤード、バドミントンなどです。
特にバスケットボールの人気は圧倒的で、街のいたるところにバスケットコートがあります。 また軒先や道端に取り付けたゴールネットで、ストリートバスケットをする子供たちの姿も日常の光景です。 そして、フィリピンにはアジアで最も古く、アメリカのNBAに次ぐ歴史のあるプロリーグ“PBA(Philippine Basketball Association)”があります。
ボクシングやビリヤードは世界チャンピオンを多く輩出しており、 アジア人初そしてボクシング史上二人目となる史上最多タイ記録のメジャー世界タイトル6階級制覇王者である “Manny Pacquiao(マニー・パッキャオ)”は、 フィリピンで英雄的存在となっています。
5.宗教
フィリピンはアジア有数のキリスト教国です。 スペインの植民地時代にキリスト教が伝わり、現在は全人口の90%以上がキリスト教(83%:カトリック、9%:プロテスタント)を信仰しています。 その他にはイスラム教が5%、仏教が3%程度です。
多くのフィリピン人にとって宗教は生活の一部となっており、日曜日は教会のミサに参列する人が多く、忙しくてミサに行けない人のためにテレビでミサの放送がされるほどです。 また、食事の前や、乗り物に乗る時に十字架を切る人も多く見られます。